医師促成栽培講座

医師たるものは、すべからく、医学者であるべし。 この理念に基づき、現在の日本国においては、医科専門学校は存在せず、医科学生は全て大学に所属している。 従って、単に医療技術を習得するのみならず、学問としての医学を修得した者のみが、医師を称し、医業を営む正当な権利を有する。 この観点からは、学生が、医師国家試験合格を目標に掲げて学業に従事することは、邪である。 とはいえ、現実には学問の資質を欠く学生も少なくない。 さらに、医師国家試験では医学でも医療でもない、医療クイズとしか言いようのない出題がなされることも多いため、 国家試験対策を講じた受験生は、講じていない受験生よりも圧倒的に有利である。

このような事情により、少なからぬ学生が、医師国家試験対策予備校や、国家試験対策本の類に頼り、極めて不適切な勉強法を実施しているのが現状である。 彼らの姿勢は、厳しく批判されなければならないし、到底、許容するわけにはいかない。 その一方で、もし、彼らの国家試験対策の役に立ち、同時に、彼らに少しばかりの医学の基本を感じさせることのできるような教材が存在するならば、どうであろう。 そうした教材も、医学の正道を歪めているという点では世俗的な予備校や試験対策本と同様であるが、社会全体の利益には適うのではないか。

私は、名古屋大学医学部医学科で過ごした四年間で、学問の正道から逸れていく学生をたくさんみてきたが、一方、彼らを正道に引き戻すことには、一度も成功しなかった。 その反省に基き、日本の医学の未来に僅かな光明を灯すことを目的として、本文書を遺す。 本文書は、上述のような考えに基づき、過去数回の医師国家試験に準拠して作成した問題集である。 「言葉の定義に注意を払い、基礎医学的な思考の理解を重視し、可能な限り暗記に頼らないこと」を理念とするが、 本文書が医師国家試験対策問題集であることに変わりはない。 このような邪な文書を作成したことは、おそらく、私の人生において最大の汚点となるであろう。 従って、本文書は、私の本名でも、普段の筆名でもなく「Francesca Laylah Jamilah」として著す。 なお、本文書の作成に協力してくれた、同級生で匿名希望の某君には、心より感謝している。

本文書の内容についての問い合わせは、webmaster@jamilah.jp に送られよ。 もし、返信がない場合は、失念しているか読み忘れているので、著者と思われる人物に、知らん顔をして、直接コンタクトされよ。

また、本文書は 第 105 回第 106 回第 107 回および 第 108 回医師国家試験問題の翻案である。 同試験の問題および正解は、厚生労働省が公開している。 翻案に関する著作権は、名古屋大学医学部医学科 2016 年三月卒業予定の Francesca Laylah Jamilah が有する。 本文書は、原著作物である医師国家試験問題の著作権を不当に侵害せず、かつ科学的良心に従う限り、自由に複製、改変、および再配布することができる。

問題番号は、元となった医師国家試験の問題と一致させてある。 あまり議論の余地がないように思われる問題や、あまりにくだらないと思われる問題については「略」とした。 しかし「略」となっている問題についても解説が欲しい・望ましいと思われる場合は、ぜひ、ご連絡いただきたい。


名古屋大学医学部医学科 平成28年卒業予定 Francesca Laylah Jamilah
Copyright (c) 2015 F. L. Jamilah
Valid HTML 4.01 Transitional